2016年2月10日水曜日

研究室を選ぶということ

こんにちは.てくねちおです.
2月もそろそろ中旬,年度の総まとめも近づいてきたといったところでしょうか.

というわけで,今回のトピックは卒業研究の配属先の選び方です.
工学系の,特に高専卒から学部卒の研究室選びについて,僕のかなり偏った意見をつらつらと書いていこうと思います.偏っていますが,あくまで一般論のつもりで書かせていただきます.
少々長くなるかと思いますので,初めに要点を述べておきましょう.

1. 拘束時間を知ること.
2. 内容を選り好む必要はない.
3. 指導教官の雰囲気と研究室の雰囲気は必ずしも一致しない.

非常にざっくりとしていますが,まあこのような感じだと思います.




 さて,工学系の卒業研究では,どんな研究室を選ぶのがよいのか.
本題に入る前に,なぜ卒業研究をするのか,卒業研究とはなんなのか,ということを考えてみましょう.

 卒業研究…「研究」と言うからには,とても難しいことをやるのではないだろうか,と思う方も多いと思います.それも間違いではありませんが,大概は,それほど仰々しい内容や成果を求められることは無いと思ってよいと思います.卒業研究の目的とは,ある新しい課題について,それをある制約条件下で,可能な限り自力で解決し,それを報告する,という「問題解決の手順」について学ぶことだと僕はとらえています.
 工学は応用科学です.今までに生み出され築き上げられてきた理論や技術をもとに,いかにして我々に有益な新たな技術や機能を生み出していけるようにするか,そこが主要な課題となるわけです.
 多くの場合,配属可能な研究室では,自分がそれまでに学んだ内容を基礎として,それにある程度の専門的知識を武装すれば戦える,そういう内容を扱っているはずです.研究というのは,新たな知見を得ることが目的であると考えることができます.「ある程度の専門的知識を武装すれば」というのがミソで,この段階でできるだけ多くの当該分野の最新の研究成果に触れる,そしてそこから新たな知見を得るための糸口を見出す…,ここが非常に重要です.もちろん,研究分野に近い科目が好きだったり得意だったりするのに越したことはありませんが,その科目が少々得意だったからと言って,素晴らしい解決法を見出すことができるか,と言えば,必ずしもそうではないでしょう.研究室配属の前までに,課題の基礎となる内容にはあらかた触れているはずですから,嫌いで嫌いでしょうがないような内容でない限り,特定の研究テーマに拘る必要はないと思います.僕が「内容を選り好むな」と言う根拠はここにあります.


 では,研究室はどうやって選べばよいのでしょうか?
僕なりに,思いついた限りの観点から述べていきます.おそらく8割がたのみなさんには参考にならないことでしょう.

・「簡単そうだから」で選んではいけない
 これはありがちなことだと思いますが,研究テーマのイメージ,特に「簡単そうだから」とか,「楽そうだから」などという理由で研究室を選ぶのはよくないと思います.なぜか.
 だいたいそのイメージは間違っているからです.それが僕のイメージです.

・好きなテーマ,興味のあるテーマを選ぶに越したことはない
 卒業研究において,内容によっては,やっていて先が見えなくなるとか,課題が山積して嫌になるとか,そんなことが起きます.自分が好きなこと,強く興味を持っていること,そんなテーマであれば,壁にぶち当たったときにそれを乗り越える力がまだ幾分かはあります.もし自分が好きなこと,強く興味を惹かれていることがテーマにあるのならば,せっかくなので挑戦してみましょう.
 また,卒業研究レベルでできるようなことは,能力やセンスのある人の場合はその限りではありませんが,その分野における研究の「体験」とか「入門」に過ぎない,と言われることがあります.それは確かにそうなのかもしれません.ですから,卒業研究に選んだテーマだから,そのあともずっとそれをやらなければならない,などということは全くもってないのです.そのテーマについて学びたいのであれば,その先,大学院などで真剣に取り組むのがもっと良いと思います.そういう意味で,テーマについては強いこだわりをもつ必要はありません.

・拘束時間はどのくらいか
 研究室に配属されると,ところによってまちまちなのがこの拘束時間でしょう.研究対象によって,あるいは研究方針によって,標準的なコアタイムで済むところもあれば,夜遅くまで残ったり休日に研究室に出て作業をしたりするところだってあります.
 僕の主観ではありますが,モノ(物体として実体のあるもの,とくに合成を目的とする化学や材料系の分野)を作ってそのモノを測定・評価するような場合は結構時間(自分の努力ではどうしようもない時間)がかかりますし,あるいは,実際にモノは作らず,対象のモデルについてシミュレーションを重ねてそこから考察したり,その結果から最後に試作品を作ったりする場合(方程式や計算が土台となっているもの,とくに)は,それほどでもない(シミュレーションの場合,計算に時間をとられることはもちろんありうる),という印象があります.もしくは,新たな機能を実現するためのシステムを構築するような分野(プログラミングで機能を実現したりする場合)では,考えうるレベルの最適化ができるまでの間まで詰める必要があったりするのでしょうか.あくまでも僕の印象です.
 このあたりの分野による線引きというのがなかなか難しいもので,コレはこう,ドレはどう,と一概に言えたものではありません.いろいろな研究室の指導教員の先生や先輩に,実際はどうなっているのか聞いてみるのが最も確実な方法だと思います.

・研究活動はいつごろ始まるのか
 卒業研究に携わる時期は,進路を決める時期と重なるわけで,就職活動や受験などの時期に卒研の仕事もかぶさってきてしまうと,それはなかなか大変です.進路が決定するまでの間に自由な時間を取らせてもらえるかどうか,あらかじめ確認しておくとよいと思います.研究室によっては,そういった事情に関係なく,日々実験や作業をさせられてしまうなどという場合もありうるので,注意しましょう.
 ちなみに,僕の場合は指導教官の先生にお願いして,進学先が決まるまで(受験するすべての入試が終わるまで)の間は研究活動はかなり減らさせてもらっていました.ですが,志望していた受験先は全て不合格,泣く泣く保険をかけていたところに進むことになってしまいました.卒研の休みを受験という理由でもらうからには,さぼらずしっかり入試対策をしましょうね.(いけない,涙が出てきたような…)

・有意義な経験ができるか
 せっかく研究活動をするのだから,自分にとって有意義であってほしいですよね.そこでおすすめするのが,学会発表をする機会があるかどうかを確かめることです.学会発表は,日頃の自分の研究をまとめる(あるいは,目立った成果を強調する)よい機会です.プレゼンテーションの技術を学ぶこともできますし,卒論を書く前に自分のやったことをまとめることさえできます(フォーマットは違えど).学会発表したい,と自ら志願することは,指導教官からしても悪いことではありませんから,興味のある方はそのような希望を申し出てみてもよいでしょう.
 もちろん,学会発表をするとなれば,それまでにある程度まとまったデータを採らなければなりませんから,卒研が忙しくなることは間違いありません.研究にしっかり取り組めるという点では,非常に良い経験となりえます.言うまでもありませんが,卒研に時間を奪われたくないという方は,そういう研究室は避けたほうがいいでしょう.

・先輩を使え
 配属先を決める前に,各々の研究室を主宰する先生から説明をいただくことがあると思います.もちろん,それを聞いて,どんなことをやる研究室なのか,どういう方針で研究を進めていくのか,などを知ることは大切です.しかし,研究室の内情(どういう雰囲気なのか,どのくらい忙しいのか,とか)については,その説明の機会だけでは知ることができない可能性が高いと思われます.もし,目星をつけた研究室があったなら,その研究室を見学してみましょう.大体の場合は快く見学させていただけると思います.さて,見学ができた暁には,ぜひその研究室に所属するメンバーの皆さんに,いろいろ質問してみましょう.「研究楽しいですか?」とか,「何が面白いんですか?」とか,煽るような質問はくれぐれも控えてくださいね.だいたい,「ここの卒研ってどうですか?」などと大雑把な質問を投げてみれば,相手が後輩思いの話好きな先輩であれば,細かいことを聞かなくても,その人の立場から見た研究室の雰囲気や研究の面白さ(つまらなさ)を話してくれると思います.知り合いの先輩がいるという場合は,もっと話が早いかもしれませんね.

・研究環境,生活環境のバランス
 研究室によっては,予算が潤沢で研究機材は立派だし学生部屋の設備も充実している,というところもあれば,そうでないところもありますし,いろいろです.そこで気を付けたいのが,学生部屋の住環境についてです.学生部屋は,実験室が別にあるならあまり使うこともないかもしれませんが,デスクワークが多い研究であったり,さらには卒論をまとめる時期になったりすると,学生部屋にこもりっきりになることがあります.場合によっては,夜遅くまでパソコンの前でカタカタ…とやることだってありますし,遅くまで実験が終わった後にお腹を空かせて戻ってくることだってあります.学生部屋の設備が充実していると,そういうときになかなか捗ります.冷蔵庫に冷たい飲み物を入れておける,いつでもお湯を沸かせてカップ麺が食べられる,電子レンジがあるから食べ物をまとめ買いしておけば引きこもり放題,などなど,学生部屋の環境は,時に研究へのモチベーションに影響さえすることがあるわけです.研究室にいる時間が長くなりそうな場合は,そういう目線で選んでみるのもよいかもしれません.
 学生の生活環境について,僕はそれとはちょっと違った事情で不満があるのですが…まあ,ここではあえて触れる必要もないでしょう.



 …とまあ,思いついたことをだらだらと書いてしまったわけですが,そろそろ書く気力がなくなってきました.大して巧い説明もできませんし,このくらいでいいかな.質問や疑問があるかたは,コメントなりツイッターなりで,遠慮なく聞いてください.
 皆さんが卒業研究の配属先を選ぶにあたって,何らかのかたちでこれが参考になるのなら,それはうれしいことです.ですが,これはあくまで僕個人のとても偏った意見なので,さまざまな人の意見を聞いて,そこから自分の結論を導くようにしてくださいね.卒業研究は,研究室選びから始まっています.

 そのうち,卒研を進めるうえで大事なこととか,卒論を書いていくために大事なこととか,僕なりの意見を記事にできたらと考えていますが,どうなることか.期待はしないでください.


以上,てくねちおでした.


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